- 1乾燥地の植物の形を主役にして見せる
- 2地面は石と砂利、土は盛って水を逃がす
- 3日本の雨と冬に耐える株を選んで組む
ドライガーデンとは
ドライガーデンは、メキシコやアメリカ南西部、オーストラリア、地中海沿岸などの乾いた土地に育つ植物を集めてつくる庭です。剣のように鋭い葉を放射状に広げるアガベ、幹の先に細い葉を束ねるユッカ、銀色や青みがかった葉を持つ低木、風に揺れる細いグラス類。どれも乾きに耐えるために独特の姿をしていて、一株だけでも目を引きます。
地面は芝生や土ではなく、砂利や砕石、大小の岩で覆います。植物と植物の間を広くとり、地面の石の表情も景色の一部として見せるため、緑で埋め尽くす庭とは見え方がまったく違います。植物の数は少なくても、形と配置で見せる庭だと言えます。

水はけをつくる土台(ドライガーデンだけの所)
ドライガーデンの出来を決めるのは、目に見える植物よりも地面の下です。乾燥地の植物の多くは、根が長く湿ったままだと傷みやすい性質を持っています。雨の多い日本で育てるには、雨が降ってもすぐに水が抜ける土台をつくることが、このスタイルだけに求められる仕事になります。
よく行われるのは、植える場所の土を盛り上げて周りより高くし、水が下へ流れ落ちるようにする方法です。盛り土には、砂や軽石、砕石などを混ぜて水はけをよくした土を使い、元の土が粘土質で水が溜まりやすい場合は、入れ替える範囲を広くとります。盛り土の間に大きめの岩を据えると、土が崩れにくくなるうえ、岩山のような起伏が生まれて景色にも奥行きが出ます。
この土台づくりは、出来上がってからやり直すのが難しい部分です。植物を植えたあとで水はけの悪さに気づいても、すべて掘り起こすしかありません。見積もりの段階で、土の入れ替えの範囲と深さ、使う用土の内容を確かめておくことが大切です。
西海岸スタイルとの分かれ目
ドライガーデンと西海岸スタイルは、ヤシや乾いた植物を使う点で似ているため、混同されやすいスタイルです。ただし目指すものが違います。ドライガーデンは植物と地面の景色そのものが主役で、庭は眺めるための場所です。西海岸は、明るい色の外壁やウッドフェンス、芝生のある開けた庭など、家と暮らしの雰囲気が主役で、植物はその雰囲気を添える脇役になります。
| 見る所 | ドライガーデン | 西海岸 |
|---|---|---|
| 主役 | 乾燥地の植物の形と岩・砂利 | 家の色と木の素材、明るく開けた暮らし |
| 地面 | 砂利と岩で覆い、起伏をつける | 芝生やコンクリート、ウッドデッキ |
| 植物の量 | 種類も数も多めに、群れで見せる | シンボルになる株を一、二本 |
| 使い方 | 眺める庭 | 人が出て過ごす庭 |
植物を眺めて楽しみたいならドライガーデン、外で過ごす暮らしの雰囲気が欲しいなら西海岸を軸にすると、迷いにくくなります。
合う家・合う暮らし
ドライガーデンは、白や灰色の塗り壁の家、黒やグレーのガルバリウムの家、コンクリート打ち放しの家など、無機質な外壁と特によく合います。植物の鋭い形と、建物の平らな面との対比が、互いを引き立てるからです。木の外壁の家なら、植物の色を銀葉や青みのある葉にそろえると、柔らかな雰囲気にまとまります。
暮らしの面では、水やりや草取りの手間を減らしたい人、植物を一株ずつ集めて育てることが好きな人に向いています。日当たりのよい南向きの前庭は、このスタイルを生かしやすい場所です。反対に、日陰が多い敷地や、芝生で子どもを遊ばせたい庭には向きません。
素材と色の選び方
地面の素材は、砂利の色で全体の印象が決まります。白っぽい砂利は明るく乾いた印象になり、灰色や黒の砂利は植物の緑や銀色を引き締めます。茶色や赤みのある砂利を使うと、アメリカ南西部の荒野のような雰囲気に近づきます。砂利の粒の大きさを場所によって変えると、平らな地面にも表情が生まれます。
岩は、景色の骨格をつくる大切な素材です。大きさの違う岩をいくつか組み合わせ、地面に少し埋めて据えると、もともとそこにあったような自然な姿になります。岩の色と砂利の色を同じ系統にそろえると、まとまりが出ます。
アプローチや縁取りには、コンクリートの平板、鉄平石、枕木、コルテン鋼の板などが合います。植物が主役なので、構造物の素材は種類を絞り、植物の形を邪魔しない控えめなものを選ぶのが基本です。
植栽
植物は、形の違うものを組み合わせると景色に変化が出ます。放射状に葉を広げるアガベやダシリリオン、幹を伸ばすユッカやコルジリネ、柔らかく揺れるグラス類、地面を這うセダムなどを、高さと形で組み合わせます。
日本の寒さに耐えられる種類を選ぶことが何より大切です。アガベやユッカの中にも寒さに強いものと弱いものがあり、同じ見た目でも冬越しの難しさは大きく違います。地域の冬の冷え込みを施工会社や植物の専門店と確かめ、地植えは寒さに耐える種類に限り、寒さに弱い種類は鉢植えにして冬は軒下や屋内に移すと安全です。
植える間隔は、株が育ったときの大きさを見込んで広めにとります。アガベなどは年々大きく広がるため、通路の近くに鋭い葉の株を置くと、通るときに危ないことがあります。人が通る所から離して配置するよう気をつけます。
門まわり・駐車場の組み方
門まわりは、塗り壁やコンクリートの門柱の前に、存在感のある株を一つ据える組み方がよく合います。門柱の足もとを砂利で覆い、岩と小さな株を添えると、玄関先がそのまま植物の見せ場になります。表札や照明は、植物の影が門柱に映るような位置に置くと、夜にも形が楽しめます。
駐車場は、車の出入りに耐えるコンクリートを基本にしつつ、目地や縁を砂利で区切ると、床の面積が大きくても無機質になりすぎません。駐車場と植栽の境は、植物の葉が車や人に触れないよう余裕を持たせます。塀は低めに抑えるか、背景になる壁を一面だけ立てて、植物の輪郭がはっきり浮かぶようにすると、ドライガーデンらしい見せ方になります。
費用の目安
ドライガーデンの費用は、地面を仕上げる工事と、水はけをつくる土台づくり、そして植物の代金に分かれます。公開されている相場をもとにした目安は次のとおりです。費用は地域・敷地・材料で変わります。
| 工事 | 目安 |
|---|---|
| 庭の整地 | 1㎡あたり2,500〜5,000円 |
| 砂利の敷き詰め | 1㎡あたり3,000〜7,000円 |
| 新築の外構工事の全体 | 100万〜300万円 |
アガベなどの植物は、種類と株の大きさで価格の幅が非常に大きく、大株や珍しい種類ほど高くなります。盛り土や土の入れ替え、岩の据え付けも、量と重さで費用が大きく変わるため、ここでは目安を出していません。見積もりでは、用土の内容と入れ替えの範囲が明記されているかを確かめてください。
失敗しやすい所
いちばん多いのは、水はけの準備が足りず、梅雨や秋の長雨で株が傷むことです。見た目を整えることに気をとられ、土台づくりを省いてしまうと、数年のうちに植物が次々と弱っていきます。植える場所は必ず周りより高くし、雨のあとに水が溜まらないかを確かめておきます。
次に、寒さに弱い種類を地植えにして、冬に失ってしまうことです。見た目が好みでも、その地域の冬を越せない種類は鉢植えにするのが安全です。また、防草シートを敷かずに砂利だけで仕上げると、砂利の間から雑草が生えて、手入れの手間が増えます。植物の周りを除いてシートを敷いてから砂利で覆うと、草取りの負担を大きく減らせます。鋭い葉の株を通路の近くに植えて、子どもや来客がけがをすることにも注意が必要です。
よくある質問
ドライガーデンは本当に水やりが要りませんか。
根づいたあとは、雨だけで育つ種類が多く、水やりの手間は少なくなります。ただし植えた直後や、真夏に日照りが続くときは水やりが必要です。鉢植えの株は地植えより乾きやすいため、別に様子を見る必要があります。
雪の降る地域でもつくれますか。
寒さと雪に耐える種類を選べば可能ですが、選べる植物は限られます。雪の重みで葉が傷む種類もあるため、冬は鉢を屋内に移す前提で組むか、寒さに強いグラス類や低木を中心にする方法が現実的です。
ドライガーデンと西海岸スタイルの違いは何ですか。
ドライガーデンは乾燥地の植物と石の景色を眺める庭で、植物が主役です。西海岸は明るい外壁や木の素材、芝生のある開けた庭など、家と暮らしの雰囲気が主役で、植物はそれを添える役です。
アガベの葉でけがをしませんか。
アガベなどは葉の先や縁に鋭いとげを持つ種類が多く、触れるとけがをすることがあります。通路や駐車場の近くを避け、子どもやペットが近づきにくい場所に植えると安心です。とげの少ない種類を選ぶ方法もあります。
雑草対策はどうすればよいですか。
植物の周りを除いた範囲に防草シートを敷き、その上を砂利で覆うのが基本です。シートの継ぎ目や縁からは草が出やすいので、重ね幅を十分にとっておくと、草取りの手間を抑えられます。
植物はどの季節に植えるのがよいですか。
乾燥地の植物の多くは、気温が上がって根が動き出す春から初夏に植えると根づきやすくなります。梅雨の直前や冬に向かう時期に植えると、根が張る前に長雨や寒さにさらされて傷むことがあるため、工事の時期と植え付けの時期を分けて考える方法もあります。
参考にした資料
- 比較ビズ「庭のリフォーム費用相場は?整地・ガーデニング・外構などの相場を紹介」(2024年5月16日更新)(www.biz.ne.jp)
- 比較ビズ「外構工事の費用相場|予算内でどこまでできる?」(2024年9月19日更新)(www.biz.ne.jp)




