テラス屋根とは・まず決めること
テラス屋根は、家の外壁や独立した柱に取り付けて、掃き出し窓の前やデッキの上に掛ける屋根です。壁で囲わないため部屋にはなりませんが、雨と日差しをしのげる外の軒下ができます。アルミの骨組みにポリカーボネートの板を載せた既製品が主流で、間口と奥行き、柱の高さ、屋根の形を組み合わせて選びます。
最初に決めるのは目的です。洗濯物を干す場所なら、雨をしのぐ奥行きと、湿気を逃がす風通しが要ります。リビングの前の日よけなら、屋根材が光と熱をどれだけ通すかと、室内が暗くならないかを見ます。ウッドデッキやテラスを雨と紫外線から守る目的なら、床全体を覆える大きさと、雨水をどこに落とすかが要点になります。目的が二つ三つ重なるなら、どれを優先するかを決めてから寸法を選びます。
次に決めるのが取り付け方です。外壁に直接固定する壁付けは安定しますが、外壁に穴を開けるため、家の保証との兼ね合いを住宅会社に確かめます。外壁に触れず独立した柱で支える形は、保証を気にせずに済み、屋根と外壁の間にすき間ができるぶん雨が回り込みやすくなります。
屋根材と形の比べ
屋根材で主流のポリカーボネートは、ガラスより軽く、衝撃に強く、紫外線をほぼ通しません。透明に近いものから、乳白色、ブラウン、グレーまで色があり、色が濃いほど日差しをやわらげ、室内はそのぶん暗くなります。夏の暑さが気になる場所には、熱線を反射・吸収する加工をしたポリカーボネートがあり、公開されている価格では通常の板との差額は数千円程度です。日差しが強い南向きや西向きの窓の前では、この差額で過ごしやすさが大きく変わることがあります。
屋根の形はフラット型とアール型の二つが基本です。フラットは直線的で現代的な外観に合い、アールは丸みがあり雨が流れやすい形です。同じ寸法なら価格に大きな差はなく、家の外観との相性で選べます。屋根の勾配は雨を前か横の雨樋に集めるために付いており、水の落とし先を庭のどこにするか、隣地に向けないかを現地で確かめます。
骨組みのアルミは塗装色が数種類あり、サッシや外壁の色に合わせると後付けの印象が薄れます。板の厚みと骨組みの強さは、積雪と風の等級で表され、同じ製品でも積雪20cm対応と50cm対応で価格が変わります。雪の多い地域では、必要な等級を満たさない屋根は雪の重みで割れるため、価格より先に等級を確かめます。
| 種類・素材 | 費用感 | 耐久 | 手入れ | 向く家・一言 |
|---|---|---|---|---|
| ポリカーボネート(透明・色付き) | 本体 約6万〜10万円(間口2.7m・奥行1.2mの例) | 衝撃に強く割れにくい | 汚れたら水洗い。積雪は等級内に | 紫外線をほぼカット。色が濃いほど室内が暗くなる |
| 熱線遮断ポリカーボネート | 通常の板に数千円の差額(例の製品) | 同上 | 同上 | 夏の暑さをやわらげる。南・西向きに向く |
| アルミ形材(骨組み) | 本体に含む | 錆びにくい | 汚れたら水洗い | 積雪20cm/50cm対応で価格が変わる。色はサッシに合わせる |
奥行きの決め方:洗濯物・雨・日差し(テラス屋根だけの所)
テラス屋根の使い勝手は、ほぼ奥行きで決まります。公開されている既製品の一例では、間口約2.7m、奥行き約1.2mが標準の寸法として示されており、間口は家の窓の幅に、奥行きは目的に合わせて選びます。
洗濯物を守るなら
物干し竿を屋根の下に吊るとき、竿の位置が屋根の端に近いと、横から降る雨で濡れます。竿から屋根の端まで余裕があるかを、横殴りの雨を想像して決めます。奥行きだけでなく、屋根の前面に目隠しと風よけになるパネルを付けると、吹き込みが減ります。ただし囲いすぎると湿気がこもり、洗濯物が乾きにくくなるため、風が抜ける道は残します。公開されている既製品では、前面パネルや吊り下げ式の物干しがオプションとして用意されており、本体と同時に付けるかを決めておきます。
日差しをしのぐなら
夏の高い日差しは奥行きが浅くても遮れますが、冬や朝夕の低い日差しは奥行きがあっても横から入ります。リビングの前に掛けるなら、夏の昼に窓の前へ影が落ちる奥行きが一つの目安で、冬に室内へ日が入らなくなるほど深くしないほうが暮らしやすくなります。屋根材の色を濃くするより、奥行きを少し深くして透明に近い板を選ぶほうが、明るさを保ちながら日を遮れます。
デッキを覆うなら
ウッドデッキやタイルの床を雨から守るのが目的なら、床の奥行きと同じかそれより少し深い屋根にします。床の端が屋根からはみ出すと、そこだけ濡れて乾かず、天然木なら傷みが早くなります。柱を床の中に立てるか外に立てるかで床の使える広さが変わるため、柱の位置は床の図面と重ねて決めます。
費用の目安と内訳
テラス屋根の費用は、本体と工事費、それに土台や撤去の有無で決まります。公開されている相場をもとにした目安は、土台となるテラスやデッキが既にある場合で10万〜30万円、本体が8万〜20万円に取り付けの工事費が加わる形です。土台がなく、土間コンクリートなどを新しく作る場合は15万〜35万円で、土台の工事は1㎡あたり2万〜3万円が目安です。費用は地域・敷地・材料で変わります。
既製品の価格の一例では、間口約2.7m・奥行き約1.2mの屋根本体が約6万〜10万円、組立の工事費が約3.8万円で、積雪50cm対応や柱の位置を奥に移せるタイプ、熱線遮断の板を選ぶと本体が上がります。前面パネルは1段で約3.8万円に工事費約2.5万円、吊り下げ式の物干しは約1.3万円に取付費が加わります。
古い屋根を交換する場合は、撤去と処分に2万〜5万円、コンクリートの土台を造り直す場合や金属部分の補強塗装がそれぞれ3万〜8万円かかることがあります。交換全体では15万〜35万円、出どころによっては20万〜40万円の目安が示されています。見積もりでは、柱の基礎(地面を掘ってコンクリートで固める部分)が含まれているか、既存の土間を割る工事が別料金かを確かめます。
| 内訳 | 目安 | 変わる理由 |
|---|---|---|
| 本体(屋根材・骨組み) | 8万〜20万円 | 寸法・積雪等級・屋根材の種類で変わる |
| 取り付け工事 | 約3.8万円〜(例の製品) | 柱の基礎・土間の割り工事が別料金かを確かめる |
| 土台の新設(土間コンクリートなど) | 2万〜3万円/㎡ | 土台がない場合。全体で15万〜35万円の目安 |
| 前面パネル・物干し | パネル約3.8万円+工事約2.5万円・物干し約1.3万円 | 吹き込みと目隠しの対策 |
| 撤去・処分(既存がある時) | 2万〜5万円 | 土台の造り直し・補強塗装は各3万〜8万円 |
費用を左右するもの
- 間口と奥行き(面積に比例して本体が上がる)
- 積雪・風の等級(50cm対応は20cm対応より高い)
- 屋根材の種類(熱線遮断・色付き)
- 土台の有無(土間コンクリートの新設)
- 前面・側面パネルや物干しの付け足し
- 既存の屋根の撤去と土間の割り工事
工期と流れ
工事そのものは1〜3日が目安です。柱の位置を決めて地面を掘り、コンクリートで柱を固め、固まるのを待って骨組みと屋根材を組みます。柱を固めるコンクリートの養生があるため、1日で終わらないことがあり、天候にも左右されます。
その前に、現地で窓の高さと幅、外壁の素材、地面の状態、雨水の落とし先を確かめ、製品と寸法を決めて見積もりをもらいます。既製品は在庫があれば数日から2週間ほどで届きますが、特殊な色や寸法は長くかかります。壁付けにする場合は、住宅会社に外壁への固定が保証に影響しないかを先に聞いておくと、工事の直前に止まることがありません。
- 現地の確認と打ち合わせ1日窓の幅と高さ・外壁の素材・雨水の落とし先・日と風の向きを見る
- 製品と寸法の選定・見積もり1〜2週積雪等級・屋根材・柱の位置まで決めて比べる
- 発注・納品待ち数日〜2週特殊な色や寸法は長くかかる
- 工事1〜3日柱の基礎→コンクリートの養生→骨組み→屋根材
- 引き渡し当日雨樋の水の流れを一度確かめる
法規と申請
テラス屋根は、柱と屋根があるので建築基準法の建築物に当たり、家に付ける場合は増築と見られます。都市計画区域内などの防火地域・準防火地域以外では、増築部分の床面積が10㎡を超えると建築確認が要り、防火地域・準防火地域では面積に関わらず対象になります(建築基準法6条)。間口2.7m・奥行き1.2mなら約3.2㎡で10㎡には届きませんが、間口が広く奥行きの深い屋根は10㎡を超えることがあります。
建築確認が要らない規模でも、建ぺい率や高さなどの基準に適合させる必要があります。屋根を備えた部分は建築面積に数えられる可能性があり、建ぺい率に余裕のない敷地では、屋根を掛けたことで上限を超えるおそれがあります。建ぺい率の数え方は自治体や屋根の構造で扱いが分かれるため、着手の前に自治体の建築指導課か設計者に確かめてください。
固定資産税は、三方向以上を壁で囲い、土地に定着し、用途がある、という三つがそろうと家屋として課税されます。壁のないテラス屋根は外気を遮らないため、通常は課税の対象になりません。ただし前面と側面にパネルを付けて囲いに近づけると、扱いが変わることがあります。防火地域・準防火地域では、屋根に火の粉で燃え広がらない性能が求められ(建築基準法62条)、使える屋根材が限られるため、地域の指定を先に調べておきます。
失敗しやすい所
テラス屋根の後悔は、暗くなった、暑い、雨が吹き込む、の三つに集まります。どれも奥行きと屋根材の色、風通しの組み合わせで決まる所で、現地で日の向きと風の向きを見てから選ぶと避けられます。
- 室内が暗くなったなぜ日よけを強くしようと色の濃い屋根材を選び、奥行きも深くした結果、リビングに日が入らなくなる。避け方透明に近い板で奥行きを調整する。冬の低い日差しが入る深さに留める。
- 夏に屋根の下が暑いなぜ透明の屋根は日差しの熱をそのまま通し、屋根の下に熱がこもる。避け方南・西向きなら熱線遮断の板を選ぶ。風が抜ける道を残す。
- 洗濯物が横から濡れるなぜ物干し竿が屋根の端に近く、奥行きが足りない。避け方竿から屋根の端まで余裕を取る。吹き込む側に前面パネルを付ける。
- 雨水が隣地や通路に落ちるなぜ勾配と雨樋の落とし先を現地で決めずに取り付ける。避け方雨樋の出口を自分の敷地の排水か砂利の層へ向ける。工事前に図面で確かめる。
- 建ぺい率を超えていたなぜ屋根の部分が建築面積に数えられることを知らずに大きな屋根を掛ける。避け方敷地の建ぺい率の残りを確かめ、自治体か設計者に屋根の扱いを聞く。
見積もりで確かめること
見積書には製品名と寸法だけが書かれていることが多く、積雪や風の等級、柱の基礎、既存の土間の処理、雨水の行き先は書かれていないことがあります。次の点を一つずつ聞くと、同じ条件で比べられます。
印はこの端末の中だけで、どこにも送られません。
一緒に考えたい工事
屋根の下に床を作るなら、ウッドデッキやタイルの床と同時に計画して柱の位置を決めると、床を切り欠く手間が要りません。屋根の雨樋から落ちる水は、庭の排水や砂利の層へつなげておくと、土がはねずに済みます。洗濯物を干す場所に目隠しを足すなら、フェンスの高さと屋根の柱を合わせて考えます。屋根の下を夕方以降も使うなら、外構照明の配線を柱に通せるかを工事の前に決めておきます。
よくある質問
テラス屋根に建築確認は要りますか。
家に付ける場合は増築と見られることがあり、都市計画区域内などの防火地域・準防火地域以外では増築部分の床面積が10㎡を超えると建築確認が要ります。防火地域・準防火地域では面積に関わらず対象です。確認が要らない規模でも建ぺい率などの基準には適合させる必要があるため、自治体の建築指導課に確かめてください。
固定資産税はかかりますか。
壁のないテラス屋根は外気を遮らないため、通常は家屋として課税されません。前面と側面にパネルを付けて三方向以上を囲うと、扱いが変わることがあります。
奥行きはどのくらいにすればよいですか。
既製品の標準の一例は奥行き約1.2mです。洗濯物を守るなら竿から屋根の端まで余裕が取れる深さ、リビングの日よけなら夏の昼に窓の前へ影が落ち、冬の日差しは入る深さ、デッキを覆うなら床の奥行きと同じかやや深い寸法が目安になります。
屋根材は透明と色付きのどちらがよいですか。
室内の明るさを保ちたいなら透明に近い板、日よけを優先するなら色付きの板です。夏の暑さが気になる南・西向きなら、色を濃くするより熱線遮断の板を選ぶほうが、明るさを保ちながら熱を抑えられます。
台風や雪で壊れませんか。
製品ごとに積雪と風の等級が決められており、同じ寸法でも積雪20cm対応と50cm対応で価格が違います。地域の積雪量と風の強さに合う等級を選び、等級を超える雪が積もったときは雪下ろしをするのが前提です。
工事は何日かかりますか。
取り付けの工事は1〜3日が目安です。柱を固めるコンクリートの養生があるため、1日で終わらないことがあります。製品の納品待ちを含めると、相談から完成まで2〜4週間ほどを見ておくと落ち着いて進められます。
参考にした資料
- 比較ビズ「テラス屋根設置の費用相場は?」(2023年3月28日更新)(www.biz.ne.jp)— 土台あり10万〜30万円(本体8万〜20万円)、土台なし15万〜35万円、土台形成2万〜3万円/㎡、交換15万〜35万円(記事内で20万〜40万円の表記もあり)、撤去・処分2万〜5万円、土台の造り直し・補強塗装各3万〜8万円、フラット型とアール型の価格差がほぼないこと
- セカンドラボ「テラスのリフォーム費用と工期」(2ndlabo.com)— テラス屋根の設置・交換の工期1〜3日・費用10万〜50万円、テラス囲いは1〜2週間
- コメリ リフォーム「テラス屋根」(www.komeri.com)— 既製品の寸法例(間口約2.7m・奥行約1.2m・柱高さ約2.5m/1.5m)、積雪20cm/50cm対応、ポリカーボネートが紫外線をほぼカット、熱線遮断ポリカーボネートが数千円の差額、本体59,800〜98,800円、組立工事費38,000円、前面パネル37,800円+工事25,000円、吊下式物干し12,800円
- 西宮市「建築確認申請が必要な建築物」(www.nishi.or.jp)— 増築の建築確認(防火・準防火地域以外は10㎡超・防火・準防火地域は面積に関わらず対象)、確認不要でも建ぺい率等への適合が必要なこと(建築基準法6条)
- アットホーム「ウッドデッキに固定資産税はかかる?」(www.athome.co.jp)— 固定資産税の3要件(外気分断性・定着性・用途性)、屋根のみで壁がなければ課税されないこと、屋根を備えた部分が建築面積に数えられる可能性
- e-Gov 法令検索「建築基準法」62条・「建築基準法施行令」136条の2の2(laws.e-gov.go.jp)— 防火地域・準防火地域の屋根に求められる性能(火の粉で発炎しない・屋内に達する損傷を生じない)



