- 1白く塗った木の低い柵
- 2芝生の前庭と開いた玄関先
- 3ペンキ塗りの木と素朴な小物
アメリカンカントリーの外構とは
アメリカンカントリーは、アメリカの開拓時代の農家や、郊外の住宅地の家並みを手本にしたスタイルです。腰ほどの高さの白い木の柵、ピケットフェンスで前庭をゆるやかに囲み、芝生の上に小道を通して玄関ポーチへ導く。家の前を高い塀で閉ざさず、通りから庭と家が見えることを前提にしています。
素材は木が中心で、その木を白やクリーム、くすんだ赤や紺などのペンキで塗るのが大きな特徴です。木の色をそのまま生かすナチュラルや北欧と違い、塗装した木のやわらかい色が景色の基調になります。ポール型の郵便受け、ランタン形の灯り、木の表札など、暮らしの道具がそのまま飾りになるのもこのスタイルらしさです。

合う家・合う暮らし
横張りの板張りや板張り風の外壁、切妻屋根、白い窓枠、玄関ポーチを持つ家とよく合います。外壁が淡い黄色や水色、グレーの家なら、柵を白にするだけで一気にアメリカの郊外の雰囲気が出ます。屋根付きのポーチがある家なら、ポーチの柱や手すりを柵と同じ白で塗ると、建物と外構がひと続きに見えます。
暮らしの面では、近所の人と顔を合わせる玄関先を好む人、子どもや犬が前庭で遊ぶ姿を思い描く人に向いています。外から見える前庭を、家族の表情が見える場所として楽しめるかどうかが、このスタイルを選ぶかどうかの分かれ目になります。季節ごとに玄関先の飾りを替えるのが好きな人にも、合わせやすい背景になります。
素材と色の選び方
柵や門扉、物置などの木の部分は、塗装する前提で選びます。天然木を塗る場合は、木目がうっすら透ける塗料にするか、しっかり覆う塗料にするかで印象が変わります。手入れを減らしたい場合は、塗装済みの樹脂の柵を選ぶ方法もあり、遠目にはほとんど違いが分かりません。
色は、白を基調に、くすんだ赤、紺、深い緑のうち一色を差し色として、物置の扉や郵便受け、ベンチに使います。床は芝生を中心に、小道にはレンガや平らな自然石、枕木を使います。コンクリートは駐車場など必要な所だけにし、目立つ場所の床はなるべく自然な素材にしておくと、カントリーらしい素朴さが保てます。
| 部位 | 合う素材 | 色 |
|---|---|---|
| 柵・門扉 | 塗装した木・塗装済みの樹脂 | 白・クリーム |
| 小道 | レンガ・自然石・枕木 | 素材の色のまま |
| 物置・郵便受け | 木・塗装した金物 | 差し色を一色 |
西海岸との分かれ目:ペンキの木と芝の前庭
同じアメリカを手本にしたスタイルでも、西海岸とアメリカンカントリーは別の景色です。西海岸は乾いた海辺の町の明るさが手本で、ヤシや乾燥に強い植物、白い塗り壁、ウッドデッキなどでリゾートの開放感を出します。アメリカンカントリーは、緑の多い内陸の郊外や農村が手本で、芝生と落葉樹、ペンキで塗った木の柵、季節の花でのどかな暮らしを表します。
| 見る所 | アメリカンカントリー | 西海岸 |
|---|---|---|
| 手本の景色 | 郊外・農村の家並み | 海辺の町 |
| 柵 | 白いピケットフェンス | 板張りの目隠しや低い塗り壁 |
| 植物 | 芝生・落葉樹・季節の花 | ヤシ・多肉・乾いた植物 |
| 色の基調 | 白とくすんだ赤・紺 | 白・砂の色・空の青 |
ピケットフェンスは、目隠しではなく「ここからが家の庭です」と示すための柵です。低く、隙間があり、向こうが見える。この開き方こそがアメリカンカントリーを他のスタイルと分けるいちばんの所で、柵の高さを上げて目隠しにすると、とたんに雰囲気が変わってしまいます。
植栽
前庭の主役は芝生です。広い面積が取れなくても、玄関ポーチの前に芝の緑があるだけで、アメリカの郊外らしい景色になります。木は、ハナミズキやヤマボウシ、カエデなど、春の花や秋の紅葉が楽しめる落葉樹が合います。ハナミズキは北アメリカ原産の木で、このスタイルとのつながりも感じられます。
柵の足元には、ラベンダーやアジサイ、バラ、ルドベキアなど、素朴で丈夫な花を植えます。柵の内側から花が少しこぼれるように咲く景色は、このスタイルのいちばんの見どころです。ポール型の郵便受けの根元にも小さな花を植えると、通りからの第一印象がやわらかくなります。
家庭菜園を取り入れやすいのも、このスタイルの良さです。木の枠で囲った小さな畑を裏庭や前庭の一角に置き、トマトやハーブを育てると、農村の暮らしを手本にしたカントリーの雰囲気にぴったり重なります。枠の板を柵と同じ白や差し色で塗ると、畑も庭の景色の一部として見えます。
門まわり・駐車場・塀の組み方
門まわりは、ピケットフェンスと同じ意匠の小さな木の門扉を付けるか、門柱を立てずに柵の切れ目を入口にする形が自然です。表札とポストは、ポール型の郵便受けに表札を添える形にすると、門柱がなくても玄関先が成り立ちます。インターホンは、玄関ポーチの柱や、木の柱を一本立てて取り付けるとなじみます。
駐車場は、車の出入りを考えて前庭とは区切ります。コンクリートの面を車輪の通る二本の帯にして間に芝を入れると、硬さが減って前庭とつながって見えます。隣家との境は、前庭側を低いピケットフェンス、裏庭側を板張りの高めの柵にするなど、見せる所と隠す所で柵の種類を変えると使いやすくなります。
夜の灯りは、ポーチの天井や柱に吊るすランタン形の照明が基本です。前庭の小道には足元を照らす低い灯りを並べ、柵の白をほのかに浮かび上がらせると、通りから見たときに温かい家の表情が生まれます。光は電球色を選び、明るすぎない程度にとどめると、カントリーらしいのどかさが夜まで続きます。
費用の目安
アメリカンカントリーの外構は、木の柵の長さと芝生の面積が費用の中心です。数字は目安で、地域・敷地・材料で変わります。
| 工事 | 目安 |
|---|---|
| 木製フェンス(天然木) | 1mあたり3万〜4万円 |
| 樹脂の木目調フェンス | 1mあたり1万〜3万円 |
| 天然芝 | 1㎡あたり3,000〜6,000円 |
| 人工芝 | 1㎡あたり8,000円〜1.5万円 |
| ポスト | 1万〜10万円 |
| 物置(大型・デザイン性の高い物) | 20万〜40万円以上 |
| ウッドデッキ(6畳程度) | 30万〜60万円 |
天然木の柵は、最初の費用に加えて数年ごとの塗り直しの費用がかかります。長く住むつもりなら、塗装の手間と費用も含めて、天然木と樹脂を比べて選ぶのが賢明です。
失敗しやすい所
白く塗った木の柵は、地面に近い部分から汚れや傷みが出てきます。泥はねで下のほうが茶色くなり、塗膜がはがれた所から水が入ると木が腐り始めます。柱の根元をコンクリートで固めて地面から少し浮かせる、柵の下に砂利を敷いて泥はねを抑えるといった工夫で、長持ちの度合いが変わります。
芝生の手入れも、思っていたより手間がかかる所です。春から秋は芝刈りが欠かせず、雑草も入り込みます。日当たりの悪い場所では芝が薄くなりやすいので、建物の影になる部分は芝にこだわらず、下草や砂利に切り替えるほうがきれいに保てます。また、日本の住宅地は前庭が狭いことが多く、柵と芝と小道と駐車場を全部入れると窮屈になります。何をいちばん見せたいかを決め、他を引き算することが大切です。
雑貨や飾りの置きすぎにも気をつけたい所です。木の看板風の飾りや古い農具、季節の置物はカントリーらしさを強めますが、数が増えると雑然として見えます。玄関先に一つ、庭に一つなど、置く場所と数をあらかじめ決めておくと、素朴さと整った印象が両立します。
よくある質問
ピケットフェンスで防犯は大丈夫ですか。
低く隙間のある柵は、外から庭や玄関が見えるため、人目が届きやすいという面があります。高い塀で囲うより死角が少なくなる一方、入ろうと思えば入れる高さなので、玄関や窓の鍵、センサー付きの灯りなど、建物側の備えと組み合わせて考えてください。
白い柵の塗り直しはどれくらいの頻度ですか。
日当たりや雨の当たり方、塗料の種類で大きく変わるため、一概には言えません。表面が粉をふいたり、塗膜がはがれたりし始めたら塗り直しの合図です。手間を減らしたい場合は、塗装済みの樹脂の柵を選ぶ方法があります。
狭い前庭でもカントリーらしさは出せますか。
出せます。玄関ポーチ前の小さな芝と、道路沿いの短いピケットフェンス、ポール型の郵便受けの三つがそろえば、狭くても雰囲気は伝わります。柵の足元に花を植えると、さらに印象が深まります。
物置もスタイルに合わせたほうがよいですか。
物置は大きさがあるぶん、景色に与える影響も大きい物です。木の小屋風の物置を選ぶ、既製の物置を板で囲って塗装するなど、柵と同じ色で仕上げると庭の一部としてなじみます。
芝生の代わりに人工芝でもよいですか。
人工芝なら芝刈りの手間がなく、日陰でも緑を保てます。ただ、夏は表面が熱くなりやすく、天然の芝のような季節の色の変化はありません。子どもや犬が遊ぶ場所か、眺める場所かで使い分けると、それぞれの良さが生きます。
建物が洋風でなくても取り入れられますか。
箱形の簡素な家でも、白い柵と芝、ポール型の郵便受けを組み合わせれば、外構からカントリーの雰囲気を足すことはできます。ただ、瓦屋根の和風の家とは方向が大きく違うため、外構だけで寄せようとすると浮いて見えやすくなります。
参考にした資料
- 外構フェンス工事の費用相場を紹介!工事費用を抑える3つのコツや注意点を解説(比較ビズ)(www.biz.ne.jp)
- 新築の外構費用の相場はいくら?内訳と費用を安く抑えるコツ10選(CREX GROUP)(crexgroup.com)




