芝張りとは・まず決めること
芝張りは、庭や建物のまわりの土を芝で覆う工事です。土のままの地面は雨で泥になり、草が伸び、夏は照り返しが強くなります。芝で覆うと足元がやわらかくなり、子どもやペットが遊べる場所になり、見た目も落ち着きます。外構の中では費用の低い工事ですが、張った後の手間が他の工事と違って毎年続くので、始める前に「誰が、どのくらい手入れをするか」を家族で決めておくことが肝心です。
最初の分かれ道は、天然芝か人工芝かです。天然芝は初期の費用が低く、夏に表面が熱くなりにくく、季節で色が変わります。その代わり、春から秋は芝刈りと水やりが続きます。人工芝は刈る手間がなく一年中緑ですが、本体が天然芝より高く、寿命が来たら張り替えが要ります。
天然芝を選ぶなら、次に決めるのが種類と下地です。日本の住宅地で多いのは高麗芝で、日当たりがよく水はけのよい場所でよく育ちます。日陰が多い庭、水が溜まる庭では、芝の種類を変えるか、下地から水はけを作り直すか、人工芝や別の地面の覆い方に切り替えるかを考えます。「芝を張りたい場所に、1日どのくらい日が当たるか」を、着工前に一度観察しておくと判断を誤りません。
種類の比べ:高麗芝・野芝・西洋芝・人工芝
天然芝は大きく、日本芝と西洋芝に分かれます。日本芝(高麗芝・野芝・姫高麗芝など)は暖地型で、春から秋に緑になり、冬は枯れ色で休みます。暑さと病気に強く、一般の住宅の庭はほとんどこちらです。西洋芝は冬も緑を保つ種類が多く、見た目は美しい反面、暑さに弱いものが多く、管理の手間も費用もかかります。
高麗芝
葉が細く、きれいな緑色で、住宅の庭でもっとも使われる芝です。生育が速いので、夏は週に1回ほどの芝刈りが要ります。日当たりと水はけのよい場所に向きます。
野芝
高麗芝より葉が粗く、丈夫で、成長がゆっくりなので手入れの回数を減らせます。寒さにも比較的強く、見た目のきめ細かさより手間の少なさを優先する家や、広い面積に向きます。
姫高麗芝
高麗芝よりさらに葉が細く、密に仕上がります。その分、芝刈りの回数が増え、価格も高めです。目立つ場所を美しく仕上げたい時の選択です。
西洋芝
暖地型と寒地型があり、寒地型は冬も緑ですが夏の暑さに弱く、涼しい地域か、こまめな管理ができる人向きです。材料費も日本芝より高くなります。
人工芝
刈る・水をやる手間がなく、日陰やベランダにも敷けます。一方で、本体の価格が天然芝の数倍で、寿命は5〜10年とされ、夏は表面が高温になります。火気も使えません。小さな子どもが素足で遊ぶ庭や、バーベキューをする庭では、この点を先に考えます。
張り方にも種類があります。芝と芝の間を1〜2cm空ける「目地張り」は材料が少なく済み、芝が横に広がって隙間を埋めます。隙間なく敷き詰める「べた張り」は材料は増えますが、仕上がりが早く、見た目も最初から整います。入居直後からきれいに見せたい家はべた張り、費用を抑えたい家は目地張り、という選び方になります。
| 種類・素材 | 費用感 | 耐久 | 手入れ | 向く家・一言 |
|---|---|---|---|---|
| 高麗芝 | 1㎡ 1,000円前後(材料) | 手入れを続ければ生え変わる | 春〜秋に芝刈り月3〜5回・夏は週1回ほど | 住宅の庭で最も一般的。日当たりと水はけのよい場所に |
| 野芝 | 1㎡ 500〜1,000円(材料) | 丈夫で踏まれにも強い | 成長がゆっくりで芝刈りの回数を減らせる | 葉は粗め。広い面積や手間を減らしたい家に |
| 姫高麗芝 | 1㎡ 2,000〜3,000円(材料) | 手入れ次第 | 密に育つ分、芝刈りの回数が増える | 目立つ所をきめ細かく仕上げたい時に |
| 西洋芝(暖地型・寒地型) | 1㎡ 3,000円〜・寒地型は5,000円以上(材料) | 暑さに弱い種類が多い | 管理の手間と費用が日本芝より多い | 冬も緑を保ちたい、涼しい地域の家に |
| 人工芝 | 1㎡ 1,800〜4,500円(本体)+施工 2,500〜3,500円 | 5〜10年で張り替え | 刈らずに済み、掃除程度 | 夏は表面が高温・火気は使えない。日陰やベランダにも敷ける |
費用の目安と内訳
天然芝の費用は、芝そのものの材料費と、下地づくりと張り付けの施工費に分かれます。材料費は種類で差が大きく、野芝や高麗芝なら1㎡ 1,000円前後、姫高麗芝で2,000〜3,000円、西洋芝は3,000円以上、寒地型では5,000円を超えることもあります。施工費は1㎡ 3,000〜6,000円が目安で、合わせると1㎡ 5,000〜1万円ほどになります。いずれも目安で、地域・敷地・材料で変わります。
人工芝は、本体が1㎡ 1,800〜4,500円、施工費が防草シート込みで1㎡ 2,500〜3,500円が目安です。合計で1㎡ 5,000〜1万円ほどと、天然芝の初期費用と大きくは違いません。差が出るのは張った後です。天然芝は肥料・除草剤などで年1万円ほどと芝刈り機(1万〜2万円)がかかり、人工芝は10年前後での張り替えが費用になります。
見積もりで金額が動くのは、芝の面積より下地の状態です。今ある土が粘土質で水が溜まる、建物の工事で砕石やガラが混ざっている、高低差があって均す必要がある、といった場合は、土を入れ替えたり砂を敷いたりする手間が増えます。逆に、植栽や花壇と芝の境目に見切り材を入れるかどうかも、見た目と手入れのしやすさに関わる項目です。
| 内訳 | 目安 | 変わる理由 |
|---|---|---|
| 芝(材料) | 1㎡ 500〜5,000円超 | 野芝・高麗芝は1,000円前後、西洋芝は高い |
| 下地づくりと張り付け(施工) | 1㎡ 3,000〜6,000円 | 掘り下げ・砂・床土・目土・水やりまで |
| 人工芝(本体+施工) | 1㎡ 約5,000〜1万円 | 防草シート込みの目安。品質で差が大きい |
| 既存の芝・土の撤去と処分 | 別見積もり | 量と搬出のしやすさで変わる |
| 見切り材・縁石 | 別見積もり | 芝と通路・植栽の境目に入れると手入れが楽 |
費用を左右するもの
- 芝の種類(野芝・高麗芝か、姫高麗芝・西洋芝か)
- 下地の状態(粘土質・ガラ混じり・高低差があると手間が増える)
- 目地張りかべた張りか(べた張りは材料が増える)
- 面積と形(細長い所や曲線は手間がかかる)
- 人工芝の品質(パイルの長さと密度で本体価格が変わる)
- 撤去する既存の芝や土の量
工期と流れ・張る時期
天然芝は、芝が活動を始める3〜6月が張るのに向く時期です。北日本では4月からが目安になります。7〜8月の盛夏も根は付きますが、水やりの管理が大変になります。秋から冬は根が休眠しているため付きにくく、寒冷地では張れません。工事の日程は、この適期に合わせて逆算します。
下地づくりは、芝を張る場所を7cmほど掘り、水はけのために砂を4〜5cmの厚さで敷いて締め、その上に石や草の根を取り除いた床土を敷いて平らに踏み固めます。ここで水が流れる向きを作っておくと、雨の後に水たまりができません。張った後は目土を1cmほどかけ、ほうきで隙間に行き渡らせて踏み固め、根まで届くようにたっぷり水をやります。
施工そのものは、一般の住宅の庭なら1〜3日が目安です。人工芝は、下地を整え、防草シートを敷き、芝を敷いて継ぎ目を処理し、ピンで固定します。天然芝は張ってから根が付くまでの1か月ほどがいちばん乾きやすいので、この期間は水やりを欠かさないことが、工事と同じくらい大切な工程になります。
- 現地の確認と打ち合わせ1日日当たり・水はけ・排水の向きを見る
- 見積もり・契約業者による芝の種類と張り方、下地の工程を項目で
- 適期を待つ3〜6月が目安北日本は4月から。秋冬は根が付きにくい
- 下地づくり・芝張り1〜3日掘り下げ・砂・床土・張り付け・目土・水やり
- 根付くまでの養生約1か月乾かさないよう水やりを続ける
法規と申請・近隣への配慮
芝張りそのものに、建築確認や届け出の手続きはありません。気をつけたいのは法規より近隣との関係です。芝刈りの刈りくずや目土が隣地や道路に流れないように、境目には見切り材や縁石を入れておくと、掃除の手間も減ります。芝刈り機の音は朝早くや夜を避けるのが基本で、電動やリール式は騒音が小さめです。
雨水の流れにも注意が要ります。地面の高さを変えたり土を入れたりすると、水の流れる向きが変わります。隣地に向かって水が流れ込む形にしないよう、勾配は自分の敷地内の排水に向けて作ります。人工芝を敷く時は、下に敷く防草シートと下地が雨水を通すかを業者に確かめます。
年間の手入れと費用(芝張りだけの所)
天然芝の手入れは、芝刈り・水やり・肥料の三つが基本で、必要に応じて除草・目土・エアレーション(土に穴を開けて空気を通す作業)を加えます。日本芝(夏芝)の一年は、おおむね次のように進みます。
- 4〜5月:芝が緑になり始める。芝張りや補修はこの時期から。芝刈りは月3〜5回、肥料は月1回、エアレーションはこの時期に
- 6〜7月:勢いよく育つ。芝刈り・水やり・肥料は春と同じ。梅雨は水やりを控え、刈りくずをしっかり取る
- 8〜9月:いちばん育つ時期。芝刈りは月4〜5回、晴れが続けば1〜2日に1回朝に水やり。低い所に目土
- 10〜11月:枯れ色に向かう。10月中に1回短めに刈り、肥料も10月に1回で終わり
- 12〜3月:休眠。芝刈りも肥料も不要。乾いたら月1回ほど水をやる程度
芝刈りで守る決まりは「上から3分の1まで」です。一度に根元まで刈ると、光合成ができず弱ります。刈り高はおおむね2.5〜3cmを保ち、刈りくずは集めて捨てます。放っておくと病害虫のもとになります。
費用は、肥料や除草剤などで年1万円ほど、芝刈り機は手押し式で1万〜2万円が目安です。手押しのリール式は50㎡くらいまでの庭に向き、音も静かです。それより広ければ電動のロータリー式が楽になります。手入れを業者に頼む場合は、芝刈りの回数で料金が変わるので、年間で何回頼むかを先に決めてから見積もりを取ります。
失敗しやすい所
芝の失敗は、張った直後ではなく、1年目の夏と2年目の春に出てきます。多くは下地と場所の選び方に原因があり、張る前に防げるものです。
- 水はけを直さずに張るなぜ粘土質や締まった土の上に芝だけ張ると、雨の後に水が溜まり、根が腐ったりコケが出たりする。避け方張る前に砂の層を入れ、水の流れる向きを作る。水が溜まる場所は芝以外の覆い方も考える。
- 日陰に張るなぜ日本芝は日当たりを好み、建物の北側や塀の際では薄くなって土が見えてくる。避け方着工前に日が当たる時間を観察し、日陰の部分は砂利や下草に切り替える。
- 刈りすぎて弱らせるなぜ伸びた芝を一度に根元まで刈ると生長点を失い、光合成ができず回復が遅れる。避け方上から3分の1までを目安に刈り、刈り高2.5〜3cmを保つ。
- 人工芝の夏の熱と火気なぜ人工芝は直射日光で表面が高温になり、素足でやけどするほどになることがある。火にも弱い。避け方子どもやペットが遊ぶ庭、バーベキューをする庭では天然芝か別の仕上げを検討する。
- 張った直後の水やり不足なぜ張ったばかりの芝は乾きやすく、最初の数週間に水が切れると根が付かずに枯れる。避け方根付くまでの約1か月はたっぷり水をやる。旅行の予定がある時期を避ける。
- 手入れの量を見誤るなぜ春から秋は月に数回の芝刈りが続き、想像より手間がかかって放置され、草だらけになる。避け方誰が刈るかを決め、面積を手入れできる広さに絞る。手間を減らすなら野芝や人工芝を。
見積もりで確かめること
芝張りの見積もりは1㎡あたりの単価で出ることが多く、単価の中に何が入っているかで総額が変わります。下地の工程と芝の種類、張り方を、言葉ではなく項目として書いてもらうと比べやすくなります。
印はこの端末の中だけで、どこにも送られません。
一緒に考えたい工事
芝と相性がよいのは、水やりのための立水栓や自動散水です。芝の面積が広いなら、散水の位置を芝張りと同時に決めると配管の手戻りがありません。芝と駐車場や通路の境目は、見切り材や砂利で区切ると芝刈りが楽になります。日陰になる建物の北側は、芝ではなく砂利や防草シートに切り替える判断も、同じ時に決めておくと無駄がありません。
よくある質問
高麗芝と野芝はどちらを選べばよいですか。
見た目のきめ細かさを優先するなら高麗芝、芝刈りの回数を減らしたいなら野芝が候補です。野芝は葉が粗めで成長がゆっくり、寒さにも比較的強いので、広い面積や手間を抑えたい家に向きます。日当たりと水はけが整っているかは、どちらを選んでも前提になります。
芝張りの費用はどのくらいですか。
天然芝は芝と施工を合わせて1㎡ 5,000〜1万円が目安です。芝の材料費は野芝・高麗芝で1,000円前後、西洋芝では3,000円以上と差があります。人工芝は本体と施工を合わせて1㎡ 約5,000〜1万円が目安です。地域・敷地・材料で変わるので、下地の工程を含めた見積もりで比べてください。
いつ張るのがよいですか。
芝が活動を始める3〜6月が適期で、北日本は4月からが目安です。真夏も根は付きますが水やりの管理が大変になります。秋から冬は根が休眠していて付きにくく、寒冷地では張れません。
芝刈りは年に何回必要ですか。
日本芝の場合、春から秋は月に3〜5回が目安で、8〜9月のいちばん育つ時期は月4〜5回ほどになります。10月中に1回短めに刈ったら、翌春まで刈らずに済みます。刈る時は上から3分の1までにし、刈りくずは集めて捨てます。
人工芝はどのくらいもちますか。
一般に5〜10年が寿命の目安とされ、日当たりや使い方で差が出ます。直射日光で色があせ、よく踏む場所はパイルが寝たり抜けたりします。張り替えの時期が来ることを前提に、費用を見込んでおくと慌てません。
水はけが悪い庭でも芝は張れますか。
下地から直せば張れます。芝を張る場所を7cmほど掘り、砂を4〜5cm敷いて締め、その上に床土を入れて勾配を付けるのが基本です。それでも水が溜まる場所は、暗渠や排水の工事を足すか、芝以外の覆い方に切り替える判断もあります。
参考にした資料
- ミツモア「芝張りの費用相場はいくら?」(2025年7月23日更新)(meetsmore.com)— 日本芝 1㎡ 約1,000円・野芝 500〜1,000円・姫高麗芝 2,000〜3,000円・西洋芝 暖地型 約3,000円・寒地型 5,000円以上、施工費 1㎡ 3,000〜6,000円、材料と施工の合計 1㎡ 5,000〜1万円
- くらしのマーケットマガジン「人工芝の施工費用」(2025年3月19日更新)(curama.jp)— 人工芝本体 1㎡ 1,800〜4,500円、施工費 1㎡ 2,500〜3,500円(防草シート込み)、合計 1㎡ 4,950〜10,300円、寿命 5〜10年、施工の目安 1〜3日
- コメリ ハウツー「芝生の張り方」(www.komeri.com)— 下地を約7cm掘る・砂4〜5cm・床土、目地張り(1〜2cm空ける)とべた張りの違い、目土1cm、張る時期 3〜6月(北日本は4月から)・夏は根が付くが水管理が大変・秋冬は付きにくい、高麗芝の夏の水やり 週1回
- 埼玉県「芝生維持管理マニュアル 第5章 維持管理をしよう」(www.pref.saitama.lg.jp)— 夏芝の年間作業(芝刈り 春〜秋 月3〜5回・施肥 4〜11月 月1回・散水 春秋 2〜3日に1回 夏 1〜2日に1回 冬 月1回・10月中に1回短く刈る)、刈り高 2.5〜3cm、上から3分の1まで刈る、刈りくずは病害虫のもと、手押しリール式は〜50㎡向き
- アットホーム「天然芝と人工芝はどう違う?」(2024年4月25日更新)(www.athome.co.jp)— 肥料・除草剤など年1万円ほど、芝刈り機 1万〜2万円、人工芝は10年が寿命の目安、人工芝の本体は天然芝の5〜6倍、夏は人工芝の表面が高温になりやけどすることがある・火気厳禁、天然芝は夏も表面温度が上がりにくい



