植栽・シンボルツリーとは・まず決めること
植栽は、庭木・低木・下草を植えて外構に緑を入れる工事です。中でもシンボルツリーは、玄関まわりや窓の正面に1本立てて家の顔にする木のことで、新築の外構で最初に検討される植栽です。塀やカーポートは完成した日が一番きれいですが、木は年を重ねるほど形が整い、家の印象を育てていきます。
最初に決めるのは役割です。玄関の脇で家を引き立てる、道路からリビングの窓を隠す、西日を和らげる、季節の花や実を楽しむ。役割ごとに向く木の形が違います。目隠しなら葉が落ちない常緑樹、木陰なら夏に葉が茂り冬に日を通す落葉樹、玄関の1本なら幹が複数立つ株立ちの形が人気です。
次に決めるのが大きさの上限です。植える時は1.5〜2mでも、放っておけば屋根を越える木は多くあります。脚立で手が届く高さに収まる種類か、年に何回剪定するか、落ち葉が道路や隣地に落ちる位置か。この三つを見てから樹種を選ぶと、後で「大きくなりすぎて切った」という失敗を避けられます。業者に相談する時は、好きな木の名前より「この場所で、この高さまで、手入れはこのくらい」と伝えると、合う木を提案してもらえます。
常緑と落葉・高さと成長の比べ
庭木は大きく常緑樹と落葉樹に分かれます。どちらが良いかではなく、植える場所の役割で決めます。
常緑樹
一年を通して葉があり、目隠しや背景の緑に向きます。落ち葉が一度に出ないので掃除が集中せず、冬も緑が残ります。反面、冬の日差しも遮るので、南側の窓の前に植えると室内が暗くなることがあります。玄関の1本に使われる常緑樹には、成長がゆっくりで樹形が乱れにくい種類が選ばれます。
落葉樹
春に芽吹き、夏に葉を茂らせ、秋に色づいて葉を落とします。夏は木陰を作り、冬は日を通すので、リビングの前や庭の中央に向きます。落ち葉の掃除は秋に集中しますが、その位置が自分の庭の中なら負担は小さく、道路や隣地に落ちる位置だと気を使い続けることになります。
高さの区分と成長
植木の業界では、おおむね3m未満を低木、3〜5mを中木、5m以上を高木と呼び分け、植える手間も剪定の費用もこの区分で変わります。成長の速さは樹種で大きく違い、年に数十cm伸びる木もあれば、ほとんど高さが変わらない木もあります。成長が速い木は早く目隠しになりますが、剪定の回数も増えます。ゆっくり育つ木は手入れが少なく済む一方、植えた時点である程度の高さが要るので本体の価格は上がります。
株立ちと単幹
根元から幹が数本立ち上がる株立ちは、やわらかい印象でシンボルツリーに人気です。幹が1本の単幹は、整った形で和風や格式のある外構に合います。株立ちは幹が増える分、横に広がる幅も見ておきます。
| 種類・素材 | 費用感 | 耐久 | 手入れ | 向く家・一言 |
|---|---|---|---|---|
| 常緑樹(中木・シンボルツリー向き) | 本体 2万〜4万円(高さ2〜3m) | 一年中葉がある | 剪定は年1回前後が多い。落ち葉は少しずつ | 目隠し・玄関の1本に。冬の日差しも遮る |
| 落葉樹(中木・シンボルツリー向き) | 本体 2万〜4万円(高さ2〜3m) | 季節で姿が変わる | 秋に落ち葉の掃除が集中 | 夏は木陰・冬は日を通す。リビングの前に |
| 低木・生垣用の常緑樹 | 本体は1本数千円から | 刈り込みに耐える種類が多い | 年1〜2回の刈り込み | 境界の目隠しや花壇の縁に。本数で費用が決まる |
| 下草・グランドカバー | ポット苗で1株数百円から | 広がれば草を抑える | 広がるまでの数年は草取りが要る | 木の足元の土を隠し、乾燥を防ぐ |
| 株立ちの形 | 同じ高さの単幹より高めが多い | 幹が複数で横に広がる | 枯れた幹を間引く | やわらかい印象。玄関まわりに人気 |
費用の目安と内訳
シンボルツリーの費用は、木そのものの代金と植栽工事費に分かれます。高さ2〜3m程度の木は1本2万〜4万円が大まかな相場で、植栽工事を頼むと3万〜4万円前後が加わり、合わせて5万〜8万円ほど見ておくと無難です。苗木から育てるなら数千円で手に入りますが、形になるまで数年かかります。いずれも目安で、地域・敷地・材料で変わります。
植栽工事費に含まれるのは、植え穴を掘る、土を改良する、木を据えて埋め戻す、支柱を立てる、水鉢を作って水をやる、といった作業です。植え穴は根鉢(根を包んだ土の塊)の1.5倍以上の大きさに掘るのが基本で、重機が入らない場所では人力になり、手間が増えます。支柱は根が付くまで木が揺れないようにするもので、数年たって安定したら外します。
植えた後に続く費用が剪定です。立ち木の剪定料金は高さで決まり、1〜2mで1本約2,000円、2〜3mで約3,000円、3〜4mで約4,500円、5〜6mで約8,800円、7〜8mになると約1万7,000円が平均です。6mを超えると剪定より伐採を選ぶ人が増えます。木を選ぶ時に「将来どの高さで止めるか」を決めると、毎年の費用も読めます。
| 内訳 | 目安 | 変わる理由 |
|---|---|---|
| シンボルツリー本体 | 2万〜4万円(高さ2〜3m) | 樹種・高さ・株立ちかで変わる。苗木なら数千円 |
| 植栽工事(植え穴・土改良・支柱・水やり) | 3万〜4万円前後(1本) | 重機が入らない場所は人力で手間が増える |
| 低木・下草 | 本数と株数で | 1本数百〜数千円の単価×数量 |
| 土の改良・排水の手当て | 別見積もり | 粘土層や水が抜けない場所で追加になる |
| 剪定(毎年の費用) | 1本 約2,000〜8,800円(高さ1〜6m) | 高さで上がる。7〜8mで約1万7,000円 |
費用を左右するもの
- 木の高さと形(高くなるほど、株立ちほど本体が高い)
- 樹種(成長がゆっくりな木は同じ高さでも高めが多い)
- 搬入のしやすさ(重機が入るか、人力で運ぶか)
- 土の状態(粘土・ガラ混じりなら改良や排水の手当てが要る)
- 低木・下草の本数と面積
- 支柱の種類と本数(風の強い場所は頑丈な支柱に)
工期と流れ・植える時期
木には植えるのに向く時期があり、工事の日程はそこに合わせます。落葉樹は葉を落とした後の10月下旬〜12月上旬、常緑広葉樹は3月下旬〜4月上旬の早春か、6月上旬〜7月上旬の初夏、針葉樹は2月下旬〜4月下旬が適期とされます。適期を外して植える場合や、暖かい地域で育った木を冬に植える場合は、寒冷紗で覆うなどの養生が要ります。
外構工事の全体の中では、植栽は最後の方に来ます。土間コンクリートや塀を先に作り、重機の出入りが終わってから木を入れないと、せっかく植えた木が傷みます。ただし、植える場所の土は先に決めておく必要があります。舗装の下に配管が通る位置、土の深さ、水の抜け方は、植栽の時期になってからでは直せません。
植えてから根が付くまでは、乾燥に気を配る期間です。植え付け後に根元に水鉢を作り、わらやバークなどで地面を覆って乾燥と霜を防ぎ、支柱で固定してたっぷり水をやる、という手順が基本です。最初の夏を越えるまでは、雨が降らない日が続いたら水をやります。
- 現地の確認と打ち合わせ1日日当たり・配管の位置・隣地との距離・落ち葉の落ちる先を見る
- 樹種と位置の決定・見積もり業者による10年後の高さと手入れの量で選ぶ
- 外構の構造物の工事を先に外構全体の工程による重機の出入りが終わってから植える
- 適期に植え付け落葉樹 10月下旬〜12月上旬/常緑広葉樹 3月下旬〜4月上旬・6月上旬〜7月上旬適期を外す時は寒冷紗などで養生
- 根付くまでの養生最初の夏を越えるまで乾いたら水やり。支柱は安定したら外す
法規と隣地への越境(民法233条)
木を植えること自体に、建築確認や届け出はありません。建物のように境界から50cm離すという決まりも、木にはありません。その代わり、植えた後に問題になるのが、枝や根が境界を越えて隣地に入る「越境」です。
越境の扱いは民法233条が定めています。2023年(令和5年)4月1日の改正で、枝については、越境された側が自分で切れる場合が明文化されました。原則は、木の所有者に切ってもらうことですが、次の三つのどれかに当たれば、越境された側が自分で枝を切り取れます。
- 木の所有者に切るよう催告したのに、相当の期間(基本的には2週間程度と考えられている)内に切らない時
- 木の所有者が誰か分からない、またはどこにいるか分からない時
- 急迫の事情がある時
切った費用は、基本的には木の所有者に請求できると考えられています。根については改正前から、越境された側が自分で切り取ることができます。
つまり、自分の庭の木が隣地に枝を伸ばすと、隣人は催告のうえで切る権利を持ち、その費用を請求されることもあり得ます。植える位置は、成長した時の枝の広がりを見込んで境界から離し、境界に近い所には横に広がらない樹種を選びます。実際に越境が起きた時は、自治体の多くが「民事の問題」として仲介せず、専門家への相談を勧めています。切りすぎは別の争いになるので、まずは話し合いが先です。
根と配管・基礎の関係(植栽だけの所)
木を植える位置で、見落とされやすいのが地中です。外構の地中には、雨水と汚水の排水管、給水管、場合によっては電気や通信の配管が通っています。根は水のある方へ伸びるので、排水管の継ぎ目や、古くなってひびが入った所から細い根が入り込み、詰まりや破損を招くことがあります。健全な基礎を根が直接壊すことはほとんどありませんが、既にあるひびに根が入ると広げる可能性はあります。
対策は三つです。一つ目は、植える前に配管の位置を図面で確かめ、排水管の真上や継ぎ目の近くを避けること。二つ目は、建物の近く(基礎からおおむね2m以内)に植えるなら、成木でも高さが10m以下に収まる樹種を選び、大きくなる木を寄せないこと。三つ目は、配管の近くにどうしても植えるなら、防根シートや防根テープで配管側を保護してもらうことです。
植え穴の底の水はけも確かめます。粘土層で水が抜けない場所に植えると根が腐ります。穴を掘った時に水が溜まって抜けないなら、深く掘って砕石を入れる、植える場所を盛り上げる、といった手当てをしてから植えます。この判断は植える当日に業者が土を見てすることが多いので、追加の費用が出る可能性を見積もりの段階で聞いておきます。
失敗しやすい所
植栽の失敗は、枯れることより「大きくなりすぎる」「落ち葉が困る」「暗くなった」といった、数年後に出てくるものが多いです。樹種と位置の選び方で、ほとんどは植える前に防げます。
- 植えた時の大きさで選ぶなぜ1.5〜2mで植えた木が、数年で屋根や電線に届く。剪定の費用が高さで増え、最後は伐採になる。避け方成木の高さと成長の速さを確かめ、脚立で届く高さに収まる種類を選ぶ。
- 落ち葉の落ちる先を考えないなぜ道路や隣地の上に枝が伸びる位置に落葉樹を植え、秋のたびに掃除と気遣いが続く。避け方落ち葉が自分の庭に落ちる位置に植え、境界に近い所は常緑か横に広がらない木にする。
- 南の窓の前に常緑の大きな木なぜ夏は涼しいが、冬も日差しを遮って室内が暗く寒くなる。避け方窓の前は落葉樹か、低く仕立てられる木に。常緑は北側や目隠しが要る所へ。
- 排水管の真上に植えるなぜ根が水を求めて継ぎ目やひびから管に入り、詰まりや破損を招く。避け方配管図で位置を確かめ、近くに植えるなら防根シートで配管側を守る。
- 水が抜けない穴に植えるなぜ粘土層の植え穴に水が溜まり、根が腐って枯れる。枯れた原因が分からず買い直す。避け方植え穴の水はけを確かめ、抜けないなら砕石を入れるか盛り土にする。
- 境界ぎりぎりに植えるなぜ成長した枝や根が隣地に越境し、民法233条により隣人が切る権利を持つ。費用を請求されることもある。避け方成木の枝の広がりを見込んで境界から離す。目隠しはフェンスと組み合わせる。
見積もりで確かめること
植栽の見積もりは「樹木一式」とまとめられることがあります。樹種・高さ・形(株立ちか単幹か)・本数を書いてもらい、植え付けの工程と枯れた時の対応を言葉で確かめておくと、後の食い違いが減ります。
印はこの端末の中だけで、どこにも送られません。
一緒に考えたい工事
植栽と同時に決めたいのは、足元の仕上げと水やりです。木の周りを芝や下草、砂利で覆うかで草取りの量が変わります。水やりは立水栓の位置で楽さが決まり、本数が多ければ自動散水も選択肢です。夜に木を下から照らす外構照明は、植栽と同時に配線しておくと後からの掘り返しがありません。目隠しが目的なら、木だけに頼らずフェンスと組み合わせると、育つまでの数年も困りません。
よくある質問
シンボルツリーの費用はどのくらいですか。
高さ2〜3m程度の木で本体2万〜4万円、植栽工事を頼むと3万〜4万円前後が加わり、合わせて5万〜8万円ほどが目安です。株立ちや成長の遅い樹種は高めになります。地域・敷地・材料で変わるので、植え付けの工程を含めた見積もりで比べてください。
常緑樹と落葉樹はどう選べばよいですか。
目隠しや一年中の緑が欲しい場所は常緑樹、夏の木陰と冬の日差しを両立したい窓の前は落葉樹が向きます。落葉樹は秋に掃除が集中するので、落ち葉が自分の庭に落ちる位置かどうかも判断の材料です。
木を植えるのに良い時期はいつですか。
落葉樹は葉を落とした後の10月下旬〜12月上旬、常緑広葉樹は3月下旬〜4月上旬か6月上旬〜7月上旬、針葉樹は2月下旬〜4月下旬が適期とされます。適期を外して植える時は、寒冷紗で覆うなどの養生をしてもらいます。
隣の家の枝がうちの庭に入ってきたら切ってもよいですか。
原則は木の所有者に切ってもらいます。2023年4月の民法改正で、催告しても相当の期間(基本的には2週間程度)内に切らない、所有者が分からない、急迫の事情がある、のどれかに当たれば自分で切れるようになりました。根は以前から自分で切れます。切りすぎは別の争いになるので、まず話し合いが先です。
木の根で配管や基礎が壊れることはありますか。
健全な基礎を根が直接壊すことはほとんどありません。注意が要るのは排水管で、継ぎ目や古いひびから根が入って詰まることがあります。植える前に配管の位置を確かめ、近くに植えるなら防根シートで保護してもらうと安心です。
剪定は毎年いくらくらいかかりますか。
立ち木の剪定は高さで料金が決まり、2〜3mで1本約3,000円、3〜4mで約4,500円、5〜6mで約8,800円が平均です。6mを超えると伐採を選ぶ人が増えます。木を選ぶ時に将来止める高さを決めておくと、毎年の費用も読めます。
参考にした資料
- アットホーム「シンボルツリーの選び方と費用目安」(2024年11月18日)(www.athome.co.jp)— 植木本体 2万〜4万円(高さ2〜3m程度)、植栽工事費 3万〜4万円前後、合計 5万〜8万円、苗木なら数千円、常緑樹と落葉樹の区分
- ミツモア「庭木の剪定の費用相場」(2026年8月25日更新)(meetsmore.com)— 立ち木の剪定の高さ別平均価格(1〜2m 1,980円・2〜3m 2,983円・3〜4m 4,473円・5〜6m 8,774円・7〜8m 16,766円)、6mを超えると伐採を選ぶ割合が増える
- くらしのマーケット 庭木の剪定の料金表(低木3m未満・中木3〜5m・高木5m以上)(curama.jp)— 低木 3m未満・中木 3〜5m・高木 5m以上という高さの区分(剪定料金の区分として)
- 大阪府「風致地区内の緑化の参考(植栽時期)」(2009年7月6日更新)(www.pref.osaka.lg.jp)— 植栽の適期(針葉樹 2月下旬〜4月下旬、常緑広葉樹 3月下旬〜4月上旬または6月上旬〜7月上旬、落葉樹 10月下旬〜12月上旬)、不適期は寒冷紗掛けなどの養生
- 愛媛県 農業・林業の月別作業資料「林業(移植・せん定)」(www.pref.ehime.jp)— 植え穴は径・深さとも根鉢の1.5倍以上、植え付け後に水鉢を作り、わら等で地面を覆って乾燥と霜を防ぎ(マルチング)、支柱を建てて固定した後に十分にかん水する手順
- 杉並区「越境した竹木の枝の切除に関する規定について」(www.city.suginami.tokyo.jp)— 民法233条の改正(令和5年4月1日施行)、枝を自ら切り取れる3つの場合、相当の期間は基本的に2週間程度、費用は木の所有者に請求できると考えられる、根は改正前から越境された側で切除できる
- 横浜市「隣地から越境した樹木の枝の切り取りについて」(2025年2月25日更新)(www.city.yokohama.lg.jp)— 民法233条3項1〜3号の内容、相当の期間 2週間程度、費用請求の考え方(民法703条・709条)、参照元は法務省「令和3年民法・不動産登記法改正、相続土地国庫帰属法のポイント」
- 西宮市「越境した木の枝について」(2024年5月15日更新)(www.nishi.or.jp)— 越境は民事の問題として自治体は仲介しない、自ら切る前に弁護士や司法書士への相談を勧めている
- 緑生館(造園業者の解説)「庭木の根は住宅基礎を壊すのか」(2025年10月5日更新)(ryokuseikan.biz)— 健全な基礎を根が直接壊すことはほぼない、既存のひびは広げる可能性、基礎から概ね2m以内は成木時の樹高10m以下の樹種、排水管の継手やひびから毛細根が入る、防根シート・防根テープでの保護



