- 1直線と水平の線で和の静けさをつくる
- 2素材は木・塗り・石の三つまでに絞る
- 3一本の木と、その影を見せ場にする
和モダンの外構とは
和モダンは、日本の住まいが昔から持っていた素材の感覚を、今の家の形に合わせて組み直したスタイルです。木の格子、左官で仕上げた壁、黒や鉄錆色の金物、砂利や石の床。どれも伝統的な庭に使われてきた材料ですが、和モダンではそれを曲線や飾りで見せず、まっすぐな線と広い面で扱います。
大事なのは「足すより引く」姿勢です。門柱は一枚の壁、塀は格子の連続、床は一種類の石か洗い出し、といった具合に要素を減らし、余白に光と影を落とします。夕方に格子の影が壁に伸びる、照明に照らされた一本の木が浮かぶ。そうした時間による表情の変化が、このスタイルの見どころになります。

和風との分かれ目(和モダンだけの所)
和風と和モダンは材料が重なるため、打ち合わせで混ざりやすいスタイルです。分かれ目は、庭の「型」を使うかどうかにあります。和風は飛び石、延段、灯籠、蹲、竹垣、仕立てた松といった、日本庭園で受け継がれてきた型を家の外まわりに持ち込みます。和モダンはその型を使わず、素材の質感だけを抜き出して現代の幾何学に置き換えます。
| 見る所 | 和モダン | 和風 |
|---|---|---|
| 線 | 直線・水平線が主役 | 曲線や自然な石の輪郭を生かす |
| 塀・目隠し | 木や木目調の縦格子、塗り壁 | 竹垣、生垣、土塀風の塀 |
| 足もと | 洗い出しや石の平板を目地で区切る | 飛び石、延段、苔 |
| 添景物 | ほとんど置かない。照明が代わりをする | 灯籠、蹲、景石 |
| 植栽 | 一本を見せ、下は砂利や低い草で締める | 仕立てた木を中心に、刈り込みで形を整える |
迷ったときは「灯籠を置きたいか」を自分に聞いてみると方向が決まります。置きたいなら和風寄り、置かずに素材で語りたいなら和モダンです。
合う家・合う暮らし
和モダンがよく合うのは、軒が深い家、外壁が塗り壁や焼杉調の家、黒やグレーを基調にした箱型の家です。平屋や二階建てでも水平の線が強い家なら、塀や門柱の高さをそろえるだけで建物と外構がひと続きに見えます。反対に、屋根の勾配がきつく装飾の多い洋風の家では、和の素材が浮いてしまうことがあります。
暮らしの面では、外に向かって開くより、道路からの視線をやわらかく遮りながら、内側に静かな庭を持ちたい人に向いています。リビングの窓から格子越しに一本の木を眺める、玄関までの数歩で気持ちを切り替える。そうした「見る庭」「通る庭」の考え方と相性がよいスタイルです。
和室や縁側のある家なら、その窓の正面を外構の見せ場にすると、室内と庭の関係がはっきりします。窓の高さに合わせて格子の目の細かさを変え、座ったときに外の視線が気にならず、木の上半分だけが見える、という調整ができるのも和モダンの組み立てやすさです。
素材と色の選び方
和モダンで最初に決めたいのは、使う素材の数です。木、塗り、石の三つまでに絞ると、まとまりが崩れにくくなります。そこに金物の色を一つ加える程度が目安です。
木と木目調
格子や門扉の木部は、天然木なら経年で銀色に変わっていく味わいがあり、アルミ形材の木目調なら色が長く保たれます。色は濃い茶か、外壁の色に合わせた焦げ茶から黒に近い色を選ぶと引き締まります。
塗り壁
門柱や袖壁は左官の塗り壁にすると、建物の外壁と質感をつなげやすくなります。色は白よりも、灰色がかった土の色や墨色のほうが和の気配が出ます。
石と床
足もとは洗い出し、黒や灰色の平板石、砂利の組み合わせが基本です。石は一種類に決め、目地の線で幾何学をつくると、静かな印象になります。
植栽
和モダンの植栽は量で見せず、一本の姿で見せます。玄関脇やアプローチの曲がり角に、枝ぶりのよい木を一本だけ置き、足もとは砂利や低い下草で締める構成が定番です。株立ちのアオダモやソヨゴ、モミジ類、ヤマボウシなど、幹の線が細く葉がやわらかい木が合います。
下草はタマリュウやヤブラン、ギボウシ、シダ類など、色の幅が狭い緑を選ぶと落ち着きます。花の色を多く入れると和モダンの静けさが薄れるので、季節の色は木の紅葉や新緑に任せるくらいがちょうどよい加減です。木の根もとや格子の前に地面から照らす照明を一つ入れると、夜は影が壁に映り、昼とは違う顔になります。
常緑と落葉の比率も考えておきたい所です。落葉樹だけだと冬に枝だけになり、格子や壁の面がむき出しになります。背景側に常緑の木を一本入れておくと、季節を通じて骨格が保たれ、手前の落葉樹の変化が引き立ちます。
門まわり・駐車場・塀の組み方
門まわりは、塗り壁の門柱を一枚立て、そこに表札とポスト、照明をまとめる形が収まりやすい組み方です。門柱の横に木格子の袖を少し伸ばすと、玄関が道路から直接見えにくくなり、奥行きも生まれます。
駐車場は面積が大きいため、ここで和モダンの印象が決まると言ってもよい所です。全面を同じコンクリートにすると無機質になりがちなので、目地に砂利や細い石の帯を入れて区切ると、床に線のリズムが生まれます。塀は全部を格子にする必要はなく、視線を遮りたい所だけ格子、それ以外は低い塗り壁と植栽、というように強弱をつけるとすっきり見えます。全体を道路と平行な線でそろえることを意識すると、建物の水平線ともつながります。
アプローチは、玄関まで一直線に通すより、門柱の裏で一度向きを変える形にすると、短い距離でも奥行きを感じられます。踏み石を目地で区切った平板にして、両脇を砂利で縁取ると、和モダンらしい余白のある通り道になります。
費用の目安
和モダンの費用を左右するのは、木格子や木目調の目隠しをどれだけの長さに使うかと、門柱を左官で仕上げるかどうかです。公開されている相場をもとにした目安は次のとおりです。費用は地域・敷地・材料で変わります。
| 工事 | 目安 |
|---|---|
| 木目調アルミのフェンス(工事費込み) | 1mあたり約2.5万〜4万円 |
| アルミ形材のフェンス(工事費込み) | 1mあたり約1.8万〜3.5万円 |
| 門扉・門柱 | 15万〜50万円 |
| 照明・ライト | 10万〜25万円 |
| 新築の外構工事の全体 | 100万〜300万円 |
格子の目隠しは長さに比例して費用が増えるので、必要な所だけに絞ることが予算の調整にもなります。左官の塗り壁の単価は公開された相場が見つからなかったため、見積もりで確かめてください。
失敗しやすい所
いちばん多いのは、和の要素を足しすぎて和風とも和モダンともつかない仕上がりになることです。格子、竹垣、灯籠、飛び石を少しずつ入れると、どれも主役にならず散らかって見えます。和モダンにすると決めたら、型ものは置かないと決めておくと迷いません。
次に多いのが色の数です。木の色、塗り壁の色、石の色、金物の色がそれぞれ違うと、素材を絞った意味が薄れます。サンプルを外の光で並べて見比べ、二系統程度にまとめておきましょう。また、黒い格子や濃い色の壁は夏に熱を持ちやすく、夜は暗く沈みます。照明を後から足すと配線が露出しやすいので、計画の段階で照らす場所を決めておくのが安全です。
もう一つは、建物との関係を外構だけで決めてしまうことです。外壁の色や窓の位置、軒の高さが決まる前に格子や門柱の位置を固めると、出来上がってから線がずれて見えることがあります。新築なら建物の図面と立面を並べ、塀と門柱の高さや位置を建物の線に合わせて検討すると、家と外構が一枚の絵になります。
よくある質問
和モダンと和風、どちらにするか迷っています。
灯籠や竹垣、飛び石といった庭の型を置きたいなら和風、型を使わず木や石や塗り壁の質感だけで和を感じさせたいなら和モダンが向いています。建物が箱型ですっきりした形なら、和モダンのほうが外構と家がなじみやすい傾向があります。
木格子は天然木と木目調のどちらがよいですか。
天然木は手ざわりと経年の色の変化が魅力ですが、塗り直しなどの手入れが前提になります。木目調のアルミは色が長く保たれ手入れが軽く済みます。手で触れる門扉は天然木、長さのある目隠しは木目調、と使い分ける方法もあります。
洋風の外観の家でも和モダンにできますか。
外壁が白やグレーで装飾の少ない家なら、素材の数を絞ることで十分なじみます。屋根の形や窓まわりに装飾が多い家では和の素材が浮きやすいので、門柱と植栽だけに和の要素を寄せるなど、範囲を限るほうがまとまります。
植栽を少なくすると寂しく見えませんか。
本数を増やすより、一本の木の位置と照明で見せ場をつくるほうが和モダンらしくなります。木の背景になる壁や格子を整え、足もとを砂利で締めておくと、少ない植栽でも空間が間延びしません。
手入れはどのくらい必要ですか。
植栽が少なく、床を砂利や石で仕上げるため、芝生や花壇の多い庭より手入れは軽い傾向です。天然木を使った所の塗り直しと、木の剪定、砂利の間の草取りが主な手間になります。
予算を抑えるなら、どこから削ればよいですか。
目隠しの格子を全周に回さず、視線が気になる所だけに絞るのが効果的です。門柱と玄関まわりは家の顔になるので質を保ち、駐車場や裏手は砂利やコンクリートで簡素にまとめると、見た目の印象を落とさずに費用を調整できます。
参考にした資料
- 外構ドクター「外構フェンスの費用はいくら?素材別・10m・20mの相場と内訳」(2026年10月26日更新)(seikatsu-doctor.co.jp)
- 比較ビズ「外構工事の費用相場|予算内でどこまでできる?」(2024年9月19日更新)(www.biz.ne.jp)




