- 1飛び石・竹垣・灯籠など庭の型を使う
- 2自然な石の輪郭と曲線をそのまま生かす
- 3剪定と竹垣の掛け替えを前提に組む
和風の外構とは
和風の外構は、寺や武家屋敷、数寄屋の庭が育ててきた形式を、住まいの外まわりに持ち込むものです。門をくぐり、飛び石を伝い、蹲で手を清めてから玄関へ向かう。そうした歩く順番そのものが庭の構成になっていて、一つひとつの石や木に役割があります。
素材は自然のものが中心です。割れ肌のままの石、竹、杉や檜の板、苔、玉砂利。それらを整えすぎず、自然の山や川の景色を縮めて見せるのが考え方の根っこにあります。新しく作った直後より、石に苔がつき、竹が飴色に落ち着き、木の枝ぶりが整ってきた数年後に完成する庭だと考えると、このスタイルの付き合い方が見えてきます。
もう一つの特徴は、見せる所と隠す所の使い分けです。門の外からは庭の一部しか見えず、中に入るにつれて景色が少しずつ開けていく。全部を一度に見せない奥ゆかしさが、和風の外構に品と落ち着きを与えています。

庭の型を生かす(和風だけの所)
和風を和風たらしめているのは、受け継がれてきた型です。和モダンが素材の質感だけを抜き出すのに対して、和風は型そのものを使います。代表的なものを、置く場所と意味で整理しておきます。
| 型 | 置く場所 | 役割 |
|---|---|---|
| 飛び石 | 門から玄関、庭の中の小道 | 歩幅と歩く速さを決め、足もとに目を向けさせる |
| 延段 | 玄関前など人がよく通る所 | 大小の石を敷き詰めた道。飛び石より改まった印象になる |
| 竹垣 | 道路との境、庭の仕切り | 透かす垣は奥を感じさせ、遮る垣は内を守る |
| 灯籠 | 道の曲がり角、水のそば | 夜の目印であり、昼は景色の焦点になる |
| 蹲・手水鉢 | 玄関や縁側の近く | 水音と、身をかがめる所作を庭に持ち込む |
すべてを入れる必要はありません。敷地が限られる住宅では、型を一つか二つに絞り、それを生かす余白を残すほうが品よくまとまります。たとえば門から玄関までを延段にして、脇に小ぶりの灯籠を一基だけ置く、といった選び方です。
合う家・合う暮らし
和風の外構がしっくり来るのは、瓦屋根や真壁づくりの家、格子戸や引き戸の玄関を持つ家です。建物が純和風でなくても、軒のある切妻や寄棟の家なら、門まわりと植栽を和風にまとめることで落ち着いた佇まいになります。
暮らし方としては、庭の手入れを季節の行事のように楽しめる人、あるいは植木の手入れを定期的に専門家に任せる前提で考えられる人に向いています。松の手入れや生垣の刈り込み、竹垣の掛け替えは、和風の庭を保つための仕事でもあります。家族が代々暮らしてきた土地での建て替えなら、既存の庭石や木を生かして組み直す選択肢もあり、古い庭の記憶を新しい家に引き継ぐことができます。
新しく建てる家でも、和室の前や玄関の脇など、一角だけを和風の庭にする方法があります。家全体の外構は手入れの軽い素材でまとめ、窓から眺める坪庭だけに竹垣と灯籠と苔を集めると、手入れの範囲を抑えながら和風の落ち着きを暮らしに取り込めます。
素材と色の選び方
和風の素材選びは、色を選ぶというより、自然の色に任せる作業です。石は御影石や地域でとれる自然石を使い、割れ肌や川で丸くなった肌をそのまま見せます。磨いた面ばかりにすると、和風の柔らかさが失われます。
竹垣
天然竹は青竹の色から次第に飴色、灰色へと変わり、その変化も景色の一部になります。一方で傷みは避けられず、掛け替えが前提です。人工竹垣は色と形が長く保たれ、手入れの手間を減らせます。人目に近い門まわりは天然竹、奥の長い区間は人工竹、と分ける考え方もあります。
床と砂利
土の部分は苔か、白川砂や那智黒などの砂利で覆います。延段の目地や飛び石の間に苔が入ると、全体がしっとりと落ち着きます。
木部
門や塀の木部は杉や檜の板、焼杉などを使い、塗装で色をつけすぎないのが基本です。
植栽
和風の植栽は、仕立てた木と自然な姿の木を組み合わせて、山の景色を縮めて見せます。門の脇には見越しの松や真木と呼ばれる主木を据え、その周りに常緑のモッコクやモチノキ、紅葉の美しいイロハモミジ、花の季節を知らせるツバキやサザンカを配します。
足もとにはサツキやツツジの刈り込みを丸く連ね、その間にシダやヤブラン、苔を入れて地面を隠します。生垣はイヌマキやカナメモチなど刈り込みに耐える木が使われ、道路との境を緑でやわらかく区切れます。どの木も手入れによって形が保たれるので、植える段階から、誰がいつ剪定するかを決めておくことが大切です。
木の配置には、高さの違う木を三角形に組む考え方がよく使われます。主木を一番高く据え、それより低い添えの木を少し離して置き、さらに低い木や刈り込みで手前を締めると、狭い場所でも遠近が生まれます。正面から真っすぐ見せず、少し斜めから眺めたときに重なりが美しく見えるよう配置すると、庭に奥行きが出ます。
門まわり・駐車場・塀の組み方
和風の門まわりは、門柱や門扉に屋根をかけた冠木門や数寄屋門を構えると格が出ます。住宅ではそこまで大きくせず、木の門柱に格子の門扉、脇に袖垣を添える程度でも十分に和風の顔になります。門から玄関までは真っすぐ見通させず、飛び石や延段を少し振って、植栽の陰から玄関が現れるように組むのが定石です。
悩ましいのが駐車場です。車の重さに耐える床が必要なため、全面を苔や砂利にはできません。コンクリートの面を目立たせないよう、目地に玉砂利や芝を入れる、門まわりとの境に低い刈り込みを置くなどして、和の部分と車の部分を分けて見せると落ち着きます。塀は道路側を生垣や竹垣にし、隣地側は板塀や人工竹垣で目隠しすると、表と裏で役割を分けられます。
費用の目安
和風の外構では、作るときの費用と、続けて手入れする費用の両方を見ておく必要があります。公開されている相場をもとにした目安は次のとおりです。費用は地域・敷地・材料で変わります。
| 工事・手入れ | 目安 |
|---|---|
| 天然竹垣の設置 | 1万〜5万円程度(種類によって変わる) |
| 人工竹垣の設置 | 2万〜8万円程度(種類によって変わる) |
| 庭木の剪定(低木・高さ3m未満) | 1本あたり2,500〜5,000円 |
| 庭木の剪定(中木・高さ3〜5m未満) | 1本あたり6,000〜10,000円 |
| 生垣の剪定(高さ1〜2m未満) | 幅1mあたり4,000〜7,000円 |
天然竹垣の平均的な寿命は10年程度とされ、雨が当たらず乾いた場所ではもっと長くもつ場合もあります。竹垣は掛け替えの時期を、植木は年に一、二度の剪定を、あらかじめ予算に入れておくと慌てずに済みます。灯籠や景石は大きさと産地で価格の幅が非常に大きいため、ここでは目安を出していません。
失敗しやすい所
よくあるのは、型を詰め込みすぎることです。灯籠、蹲、竹垣、飛び石、景石をすべて狭い前庭に入れると、どれも窮屈に見え、庭というより置き場のようになってしまいます。主役を一つ決め、残りは控えめにするほうが和風らしい品が出ます。
次に、手入れの段取りを決めずに植えてしまうことです。松や刈り込みの木は放っておくと数年で形が崩れ、元に戻すには手間と費用がかかります。また、苔は日当たりと湿り気の条件が合わないと定着せず、乾いた場所では枯れてしまいます。苔を広く張る前に、その場所の日の当たり方と水はけを確かめ、合わなければ砂利に置き換える判断も必要です。飛び石の間隔が歩幅に合わないと歩きにくく、雨の日に滑りやすくなる点にも気をつけてください。
よくある質問
和風と和モダンの違いは何ですか。
和風は飛び石や竹垣、灯籠といった日本庭園の型を使い、自然な曲線と石の輪郭を生かします。和モダンは型を使わず、木や石や塗り壁の質感だけを直線的に組み直します。灯籠や飛び石を置きたいかどうかが、選ぶときの分かれ目になります。
天然竹垣と人工竹垣はどちらがよいですか。
天然竹は色の移ろいと手ざわりが魅力ですが、傷んだら掛け替えが必要です。人工竹垣は費用はやや高めでも、色と形が長く保たれます。人目に近い所は天然竹、長さのある所は人工竹と使い分けると、風合いと手間の釣り合いが取れます。
松を植えると手入れが大変ですか。
松は芽摘みやもみあげといった松ならではの手入れがあり、形を保つには毎年の作業が欠かせません。自分で続けるのが難しい場合は、植える前に剪定を頼める先を決めておくか、手入れの軽いモッコクやイヌマキを主木にする方法もあります。
今ある庭石や灯籠を新しい外構に使えますか。
多くの場合は使えます。ただし大きな石や灯籠は移動に重機が必要になることがあり、搬出や仮置きの場所も要ります。建て替えの解体前に、残したい物を施工会社に伝えておくと、無理のない段取りを組めます。
狭い敷地でも和風にできますか。
できます。門から玄関までの数歩を延段にし、坪庭のように一角だけ竹垣と灯籠と苔でまとめる方法が向いています。型を一つに絞り、背景を板塀や竹垣で整えると、狭さがかえって凝縮された景色になります。
夜の照明はどうすればよいですか。
灯籠に明かりを仕込む方法のほか、足もとの飛び石を低い位置から照らす照明が和風になじみます。木を下から強く照らすより、光を絞って石や苔の表情を浮かび上がらせるほうが、昼とは違う落ち着いた景色になります。
参考にした資料
- 庭革命「竹垣の設置費用|建仁寺垣やプラスチック竹垣の価格も紹介」(2023年4月24日更新)(zoen-uekiya.com)
- 比較ビズ「庭木剪定の費用相場はいくら?」(2024年4月17日更新)(www.biz.ne.jp)




