- 1囲うのは窓の前と庭など要る所だけ
- 2駐車場と玄関まわりは道路に開いておく
- 3目隠しの高さは守りたい目線から決める
セミクローズ外構とは
セミクローズ外構は、オープンとクローズの間をとった組み方です。道路から見て正面の駐車場と玄関アプローチは開き、リビングの窓の前や庭、物干し場のように人の目を避けたい所だけを、フェンスや塀、植栽で部分的に囲います。全部を開くと落ち着かない、全部を囲うと圧迫感と費用が気になる、という迷いに対する現実的な答えになりやすい形です。
同じセミクローズでも、囲う範囲は家ごとにまったく違います。玄関脇に短い袖壁を立てただけの家もあれば、庭の三方をしっかり囲って道路側だけ開けた家もあります。型が決まっていない分、間取りと敷地に合わせた設計の腕が出る組み方だと言えます。

合う家・合う暮らし
道路に面してリビングや庭がある家とは特に相性が良い組み合わせです。駐車場と玄関は使い勝手を優先して開き、くつろぐ場所だけを囲えば、通りに向けた明るさと室内の落ち着きを両立できます。角地のように二方向から見られる敷地でも、見られて困る面だけを囲えば済むので、全周を塀で巡らせるより軽やかに仕上がります。
暮らし方では、庭で子どもを遊ばせたい、犬を庭に出したい、洗濯物を外に干したい、といった「庭を使う」予定がある家に向きます。逆に庭をほとんど使わず、車の出し入れが中心なら、オープン外構で窓の前だけ目隠しを足すほうが費用を抑えられることもあります。
オープン・クローズとの違い
囲う度合いで見た3つの組み方の違いを、短く並べます。
| 項目 | オープン | セミクローズ | クローズ |
|---|---|---|---|
| 囲い | ほぼ無し | 要所だけ | 敷地の周りを囲う |
| 開放感 | 最も高い | 中ほど | 低い |
| 目隠し | 弱い | 必要な所だけ効く | 強い |
| 費用 | 低め | 中ほど | 高め |
どこを囲い、どこを開くか
セミクローズ外構の設計は、囲う所を決めることから始まります。手がかりになるのは「そこで誰が何をするか」と「道路や隣家からどう見えるか」の二つです。図面に窓と庭の使い方を書き込み、道路に立った人の目線を重ねると、囲うべき所が自然に浮かび上がります。
囲うと効く所
- 道路に面したリビングや和室の掃き出し窓の前
- 庭のうち、腰を下ろしてくつろぐ場所や子どもが遊ぶ場所
- 洗濯物を干す場所、エアコンの室外機や給湯器の置き場
- 浴室や脱衣室の窓のように、夜に明かりがつく窓の外側
開いておくと楽な所
- 駐車場:門扉を付けると毎回の開け閉めが手間になる
- 玄関アプローチ:来客や配達の動線を短く保てる
- 門柱まわり:表札とポストは道路から見える位置が使いやすい
囲いの端の処理も大切です。フェンスがぶつ切りに終わると、そこだけ取って付けたように見えます。端に植栽を添えて高さをなだらかに下げる、門柱と一体の壁につなげる、といった収め方をしておくと、部分的な囲いでも全体がひとつの設計に見えます。
素材と色の選び方
囲いに使う素材は、目隠しの効き方と雰囲気、手入れの手間で選びます。主な候補を比べると次のようになります。
| 素材 | 向く使い方 | 気にしたい点 |
|---|---|---|
| アルミ形材のフェンス | 板や格子の形を選べ、さびにくい | 色と形が多く、家の外観と揃える目が要る |
| 樹脂木のフェンス | 木の風合いを保ちやすい | 天然木ほどの質感の揺らぎは出にくい |
| 天然木の板塀 | 経年の味わいが出る | 定期的な塗り直しが欠かせない |
| 塗り壁・化粧ブロック | 重厚で、門柱と一体に見せやすい | 基礎と構造の決まりを守る必要がある |
| 生け垣・植栽 | やわらかく、季節で表情が変わる | 剪定の手間と、育つまでの時間 |
色は、建物の窓枠やサッシ、玄関ドアのどれかと揃えると落ち着きます。囲う所が部分的なぶん、開いた所との差が目立つので、フェンスの色と駐車場の床の色の明るさを近づけておくと、まとまりが出ます。
目隠しの高さと塀の決まり
目隠しの高さは、守りたい目線から逆算します。道路を歩く人の目線を切りたいのか、座った自分の目線を守りたいのかで必要な高さは変わり、敷地が道路より高いか低いかでも大きく違ってきます。高ければ安心というものでもなく、高すぎる囲いは庭に影を落とし、風通しを悪くします。板の隙間を少し空けたフェンスやルーバーにすると、光と風を通しながら視線だけをやわらげられます。
ブロック塀を使う場合は、建築基準法施行令の決まりを守る必要があります。補強コンクリートブロック造の塀は高さ2.2m以下とし、高さが1.2mを超える場合は、長さ3.4m以下ごとに控壁を設けることなどが定められています。ブロックを高く積むより、低めの基礎ブロックの上に軽いフェンスを載せる組み方が多いのは、この構造の決まりと見た目の軽さの両方に理由があります。
隣地との関係では、民法に、境界線から1m未満の距離に隣の宅地を見通せる窓や縁側を設ける者は目隠しを付けなければならない、という決まりがあります。建物の計画段階で窓の位置が境界に近い場合は、外構の目隠しとあわせて考えておくと二重の手間を避けられます。
門まわり・駐車場・植栽の組み方
開いた側と囲った側をつなぐ要になるのが門柱です。表札・ポスト・インターホンをまとめた門柱を、囲いの壁と同じ素材や色で仕立てると、部分的な囲いが門まわりから始まるひと続きの構えに見えます。囲いを玄関の脇まで伸ばし、その先端を門柱として使う組み方も、すっきりまとまる方法です。
駐車場は開くのが基本ですが、駐車場と庭が隣り合う場合は、その境目に低いフェンスや植え込みを入れておくと、車の出入りと庭で過ごす時間が分かれます。庭へは駐車場から直接入れる小さな出入口を設けておくと、外から道具を運び込むときに室内を通らずに済みます。
植栽は、囲いの硬さをやわらげる役を担います。フェンスの手前に低木を並べたり、囲いの途切れる所に背の高い木を1本立てたりすると、目隠しの効果を少し足しながら、囲った印象をやさしくできます。囲いの内側には、家の中から眺める位置に主役の木を置くと、囲ったことが庭の景色を守る意味にもつながります。
費用の目安
セミクローズ外構の総額は、囲う範囲によって大きく変わります。外構工事の費用をまとめた資料でも、セミクローズの総額の目安は80万〜250万円、150万〜200万円と、資料によって幅があります。オープンより囲いの分だけ高く、クローズよりは低い、という中間の位置づけは各資料でほぼ一致しています。
費用を左右するのは、囲いの長さと素材です。1mあたりの目安は次のとおりです。
| 囲いの種類 | 1mあたりの目安 |
|---|---|
| ブロック塀 | 1万〜2万円 |
| フェンス | 5,000〜3万円 |
| 目隠しフェンス・塗り壁 | 2万〜5万円 |
目隠しの高いフェンスや塗り壁は単価が上がるため、効かせたい所に絞って使い、ほかは低いフェンスや植栽でつなぐと総額を抑えやすくなります。金額はいずれも目安で、地域・敷地・材料で変わります。
失敗しやすい所
いちばん多いのは、囲う所を図面の上だけで決め、住み始めてから目線が切れていないと気づくケースです。道路と敷地に高低差がある、向かいの家が2階建てで上から見下ろされる、といった条件は図面では見落としやすいので、建物が建ち上がった段階で現地に立って確かめるのが確実です。
次に、囲いを足しすぎて結果的にクローズ外構と変わらない費用と圧迫感になってしまうケースです。あれもこれもと囲いを伸ばす前に、その場所で本当に目線を切る必要があるか、植栽や窓のカーテンで足りないかを一度立ち止まって考えると、予算の配分が整理されます。
最後に、囲った庭の使い道を決めずに作ってしまうケースです。囲いで守った場所が日当たりも風通しも悪く、結局使われない庭になるのはもったいないことです。囲う前に、そこで何をするかを家族で話し合っておくと、囲いが生きた設計になります。
よくある質問
セミクローズとオープンの境目はどこですか。
はっきりした線はありませんが、窓の前に短い目隠しを立てた程度ならオープン、庭や敷地の一角を囲いでまとまって区切っていればセミクローズと呼ぶことが多いようです。名前よりも、どこで何をしたいかから囲う範囲を決めるほうが大切です。
門扉は付けたほうがよいですか。
駐車場と玄関アプローチを開くのがセミクローズの基本なので、門扉を付けない家も多くあります。庭への出入口だけに小さな門扉を付け、子どもや犬が道路に出にくくする使い方もあります。
目隠しフェンスの高さはどのくらいが良いですか。
敷地と道路の高低差、守りたいのが立った人の目線か座った人の目線かで変わるため、一律には言えません。現地で目線の高さを測り、必要な所だけを高くして、ほかは低く抑えると圧迫感が出にくくなります。
生け垣で囲うのはどうですか。
やわらかい雰囲気になり、街並みにもなじみます。ただし目隠しとして効くまでに年数がかかり、剪定の手間も続きます。最初はフェンスで目線を切り、手前に植栽を添えて育てていく組み方もあります。
後から囲いを足すことはできますか。
できます。将来囲う予定がある所は、最初の工事でフェンスの基礎や柱を立てる位置だけ確保しておくと、床を壊す工事を減らせます。
角地の場合はどこを囲えばよいですか。
二方向から見られる角地では、交通量の多い側やリビングの窓が向く側を優先して囲い、もう一方は低い植え込みで区切る程度にとどめると、圧迫感と費用の両方を抑えられます。角は通る人の目がいちばん集まる所なので、囲うよりも植栽や門柱で表情を付けると、家の印象が締まります。
参考にした資料
- 東急リバブル「外構工事にかかる費用は?目安や相場、工事費用を抑えるコツまで解説」(2025年10月8日更新)(www.livable.co.jp)
- ミツモア「【場所別】外構(エクステリア)の工事費用!施工例・見積もり例を参考に予算総額を確認しよう」(2024年6月28日更新)(meetsmore.com)
- 建築基準法施行令 第62条の8(塀)(e-Gov法令検索)(laws.e-gov.go.jp)
- 民法 第235条(e-Gov法令検索)(laws.e-gov.go.jp)




